サスペンス・ユーモア短編集 -31- 真実
取調室である。「はっきり見たんですねっ!」「ええ、それはもう…。ただね、私もここの虎箱でお世話になった口ですから、しかとは断言できませんが…」泥酔した挙句、蒲畑(かばはた)署で一夜を過ごした角鹿(つのじか)は、私服の馬皮(うまかわ)に事情聴取されていた。角鹿が何も語らなければ、そのまま何事もなく蒲畑署を出ていたはずだった。だが、角鹿は語ったのである。というのも、角鹿が泥酔してフラフラと暗闇の裏通りを歩いていたとき、とんでもないものを見てしまったのだ。そのとんでもないものとはUFOが円盤へ人を吸い込む瞬間だった。馬皮は半信半疑で小笑いしながら角鹿の顔をジィ~~っと凝視(ぎょうし)した。「ははは…、警察を舐(な)めてもらっちゃ困りますな。どうせ深酒(ふかざけ)で夢でも見られたんじゃないですかっ?!」馬皮は角鹿...サスペンス・ユーモア短編集-31-真実