神無月の巫女×姫神の巫女二次創作小説「召しませ、絶愛!」(十九)
会計を済ませた喫茶店を出てみれば、外はもう秋の夕陽を惜しむ時間を過ぎていた。先をぴょんぴょん跳ねるようにスキップしながら、媛子が嬉し気に歩いている。子どものようだ。その背中を千華音は追いかける。いつでも後ろから斬りつけられるように、鞄のなかの刀身に手を伸ばしながらも。誰かに抜け駆けされないように、その背中をまもりながらも。少女たちが出歩くにはそろそろ用心せねばいけない時間帯だ。追捕の九頭蛇どもに獲物を横取りされてはかなわない。千華音の警戒心がはりつめる。媛子はちらりとそんな千華音の殺気を予知しながらも、おくびにも恐怖を出さない。──でもね、千華音ちゃん。あなたは、その本を読んだらきっと変わるんだよ。だってね、多くの女の子たちも、男の子たちでさえ、そのお話を好きになって10年以上もその伝説を信じているの。う...神無月の巫女×姫神の巫女二次創作小説「召しませ、絶愛!」(十九)